「最近、歩くのが少し大変になってきたな…」と感じたとき、お買い物や散歩の味方になってくれるのが「歩行器(ほこうき)」と「シルバーカー」です。
見た目がとても似ているこの2つですが、実は「使う人の足腰の状態」によって、どちらを選ぶべきかが全く異なります。間違えて選んでしまうと、かえって転びやすくなってしまうこともあるため注意が必要です。
この記事では、高齢者の方やご家族の方にも分かりやすく、歩行器とシルバーカーの違いと失敗しない選び方を、介護業界で14年間作業療法士として働いてきた経験をもとに易しく解説します。
目次
1. 【一目でわかる】歩行器とシルバーカーの最大の違い
一番の大きな違いは、「その道具に体重をかけて(寄りかかって)歩く必要があるかどうか」です。
| 特徴 | 歩行器(歩行車) | シルバーカー |
|---|---|---|
| 対象となる方 | 伝い歩きが必要・自立歩行が難しい方 | 1人でしっかり歩ける・足腰に少し不安がある方 |
| 主な目的 | 体重を支えて、安全に歩くこと | 荷物を運ぶ、途中で座って休憩すること |
| ハンドルの形 | 体を囲むような「コの字型」 | 体の前で押す「一文字型(バー型)」 |
| 介護保険 | レンタル可能(1〜3割負担) | 対象外(全額自己負担で購入) |
⚠️ 注意してください
足腰が弱っている人がシルバーカーにぐっと体重をかけてしまうと、車輪が前にすべって転倒してしまう危険があります。寄りかからないと歩けない場合は、必ず「歩行器」を選びましょう。
2. 「歩行器(歩行車)」とは? 体重をあずけて歩ける安心の味方
歩行器(車輪付きのものは「歩行車」とも呼ばれます)は、自分の力だけでは立つことや歩くことが難しい方を支えるためのリハビリ・介護用品です。
大きな特徴
- 体を囲むような設計:ハンドルが「コの字型」になっていて、自分の体が器の中に入るような形になります。そのため、前後左右にバランスを崩しにくく、しっかり体が安定します。
- 体重をかけられる:頑丈に作られており、ブレーキの効きもしっかりしているため、両手で体重をあずけながらゆっくり一歩ずつ進むことができます。
こんな方におすすめです
- 壁や手すりにつかまらないと歩くのが不安な方
- 歩くときに、どうしても前かがみや、よろめきがちになる方
- 病院の先生やケアマネジャーさんから「歩行器を使いましょう」と言われた方
3. 「シルバーカー」とは? 元気な外出を助ける便利な手押し車
シルバーカーは、基本的には1人で問題なく歩ける方が、より楽に、より遠くまでお出かけできるようにサポートするお買い物カートのようなものです。
大きな特徴
- 荷物がたくさん入る:カゴやバッグが大きく作られているものが多く、お買い物したものをたくさん乗せることができます。
- 途中で座って休める:多くのシルバーカーには、パタンと広げるとイスになる座面がついています。お散歩やお買い物の途中で疲れたら、その場で腰掛けて休憩ができます。
- 軽くてコンパクト:歩行器に比べて軽いため、バスや電車に乗せたり、折りたたんで玄関に置いたりするのも簡単です。
こんな方におすすめです
- 1人でしっかり歩けるけれど、長い距離を歩くと疲れてしまう方
- お買い物の荷物を持つのが重くて大変だと感じる方
- 近所のお散歩や、お友達の家へ行くときの「お供」が欲しい方
4. お金の話:介護保険が「使えるもの」と「使えないもの」
いざ準備しようと思ったとき、気になるのがお金のことですよね。実はここにも大きな違いがあります。
歩行器(歩行車)は「レンタル」ができる
歩行器は「福祉用具」として認められているため、要介護認定(要支援1・2、要介護1〜5)を受けていれば、介護保険を使って月々わずかな負担(1〜3割の自己負担、数百円程度)でレンタルすることができます。
お体の状態に合わせて途中で種類を変更できるのもレンタルのメリットです。
シルバーカーは「自分で購入」が基本
シルバーカーは、自立して歩ける方向けの「生活便利グッズ」という扱いになるため、原則として介護保険は使えません。お店やネット通販などで、全額自己負担で購入することになります。(価格は1万円〜3万円前後が一般的です)
※ただし、お住まいの市区町村によっては、独自の補助金制度(上限1万円支給など)を設けているところもあります。購入前に役所の福祉窓口に確認してみるのがおすすめです。
5. まとめ:あなたにピッタリなのはどっち?
最後に、どちらを選べばいいかの基準をシンプルにまとめます。
迷ったときの選び方基準
- 「歩くための支え」が必要なら ➡️ 歩行器(歩行車)
- 「荷物運びと休憩のイス」が欲しいなら ➡️ シルバーカー
もし「自分はどちらの状態か分からないな…」と迷ったときは、無理に自分で判断せず、担当のケアマネジャーさんや、地域の福祉用具専門相談員さん、またはかかりつけの病院の先生に「どちらが安全に歩けるか」をぜひ相談してみてくださいね。
安全で快適なお出かけのパートナーを見つけて、いつまでも元気に歩く生活を楽しみましょう!